チューリップの王子様

「母様、グレイです」


ノックの後、グレイ様が名乗ると扉の向こうから入室を許可する声が聞こえた


「失礼します」


小さくお辞儀をして、グレイ様が部屋に一歩入った


「母様。新しい俺専属メイドのカノンです」


お辞儀の後、一歩横にずれたグレイ様の後ろから私が現れる

私は慌てて、頭を下げる


「カノンです。宜しくお願いいたします」


顔を上げて、私は初めて王妃様の姿を見た

色白の綺麗な女の人
瞳は、グレイ様と同じ漆黒の色をしていた

その王妃様の瞳が、私を見たとたん見開かれた


「目…」


王妃様の口から出た言葉に肩が跳ねた

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