チューリップの王子様
空き部屋に入り、一応鍵を閉める
すると、鍵を閉める音を合図にリーノが抱きついてきた
「姉様…カノン…姉様…カノンお姉様ぁぁ…会いたかったよぅ…」
そして、泣きながら私の存在を確認するように、何度も私の名前を呼んだ
「皆、お姉様を知らないって言って…私に、姉なんていないって言って…」
ボロボロと涙を流しながら話すリーノ
私は黙って耳を傾ける
「でも、よかった…やっぱり、お姉様はちゃんと居たよぉぉ…カノンお姉様ぁ」
こんな私を、まだ"お姉様"と呼んでくれるリーノ
でも…
「私は…もう、あなたのお姉様じゃないよ?…私は、あの国には存在して━」
私が言葉を紡いでいると、抱きつくリーノの腕の力が強くなった