秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
「それに……表立ったことを控えるようにしたのは、母様のことがあったからで…」
でももう、日本に長くいることはないと思うんだ。
この留学が終わって…学校に戻って、卒業したら。
たぶんもうパリに帰る。
そうしたら、音楽活動とお仕事…。
これらを両立しなきゃ。
だからほら、もうバイオリンはやり始めとこうかなって。
先生や母様がいつも喜んでくれたのは、あたしがバイオリンをやったときだった。
だからこそ…やりたい。
そう思った。
「あんまり背負う(しょう)なよ」
「えへ…うんっ」
大丈夫だもん。
だって…。
「かっくんいてくれるでしょ?」
これからはずーっと、いつもいてくれるでしょ?
帰ってきたらお帰りって。
疲れたときはお疲れさんって。
そう言ってくれる大好きな人がいるだけでもう十分だよ。
あたしも……かっくんにとってそんな存在になりたいな。
「そうか…。頑張れよ」
「うん!」
ぽんぽんと頭を撫でながらそう言ってくれたから、ニコニコ笑って、ぎゅむっとしがみついた。
「おやすみ…かっくん」
「ああ…おやすみ」
フ…と優しい顔をしたかっくんは、あたしの唇にそっと触れてから、いつものようにあたしを抱きしめた。