秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*

こくこくっと勢いよく頷いて、りんりん達に向かってぐっじょぶ!

は? って顔されたけどまあ見なかったこと。


「はいっ」


キラキラーッと目を輝かせてバイオリンをかっくんに突き出した。


「…もっぺん言うけど、ちゃんと楽譜見とけよ?」


「はーい…」


念押されちゃった…。

しょうがない。分かる努力をしよう。

努力だよ努力。分かるとは言ってないからね。


パラパラと紙をめくって、最初のページを出した。

じっと見つめながら待ち構えていると、フッとおかしそうに笑ってからやっと楽器を構えてくれた。

なんで笑われたんだろう…。

…あ! そうか。

まおのこと笑ったんじゃないんだね? そういうことだね?

…うん…! そういうことに決まってる…! うん…たぶん…。


…ちょっと自信がなくなってきたから、ふるふる頭を振って追い出し、集中することにした。

よぉく聞いてよぉく見とかないと、どれがどの音か分かんないからね。


楽譜を手に取ってにらめっこを始めると、同時にかっくんもゆったりと弾き出した。


―~~♪~♪♪♪~~♪~…


ああ…ダメだ。

ちゃんと楽譜を追ってないと…怒られちゃうよきっと。

なのになのに…。


「…❤」


聴き惚れてしまってそれどこじゃない…!


どうやったらこんな風に弾けるんだろうって思ってしまうほどに。

ぞくっと背筋に何かが走るほどに。

身体の芯に響く優しい音色。

抱きしめられてるときみたいにすごく心が落ち着く。


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