秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
愛の猛特訓?
良心を痛めつつも(嘘)、CDはなかったことにしてかっくんに弾いてもらおうと思った。
だって……そのくらい、いいじゃんねえ…?
かっくんだって、バイオリン嫌いなわけじゃないじゃん?
むしろ好き(なはず)じゃん?
勝手にそう解釈して、いそいそと準備してかっくんを待った。
―キイ…
「あ、かっくん!」
そうしていると、すぐにかっくんは現れた。
「曲…なにやんの?」
「これっ、これっ。チャイコフスキーのバイオリン協奏曲」
「チャイコフスキーか。いいんじゃねぇの?」
「だからぁ…ね❤」
「……CDは?」
「探してない!」
…あ。言ってもうた。
“探して”の部分、いらなかった!
“ない”だけでよかった!
「嘘のつけねぇやつだな」
「え、えへ❤」
「まあいいけど…」
「本当!?」
「ああ。これなら楽譜もいらねぇよ」
わぁおそうなんだ!
やったっ、やったっ。かっくんのバイオリン、かっくんのバイオリン❤
カタカタとどっからともなく椅子を用意して、バイオリンを抱きかかえて座った。