秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
『ちょ、ケイン…。マヒロが怒ってる…! 地味に怒ってる…!』
『お口が悪くなってる…!』
こんなそっくりな親子が…! いていいのだろうか…!?
「心配するな。お前と義父(おやじ)さんも死ぬほどそっくりだから」
「あれと一緒にされるなんて…! 言葉にならないほどいやだ…!」
力いっぱいそう言い切ると、くすくす笑いながら「やっぱ似てんだろ」と頭をぽふんぽふんされた。
『マヒロや、僕のおとおさん、そんなに…かっこよかったかね!?』
『ううん女好きでちょっと変態で人の話聞かなくて勝手に話進めるし、口開けば女のことばっかだった』
『うううっ…』
チーン。撃沈。おもしろっ、ケイン。
『マエストロってそんなだったんだ…』
『知らなかったー』
『息子より一緒にいた弟子が言うんだから、間違いないよな』
でも……だけどね。
『バイオリンはすごく尊敬できるし、大好き。あたし、誰の音より先生の音が一番好き。いつもすごく優しくって…あたしのこと、娘か孫だったらよかったのにって可愛がってくれたんだよ』
先生に会いに行く日は楽しみで…。
今日はなに弾いてくれるのかな? って。
どんなお話聞かせてくれるのかな…って。
『先生のこと……大好きだよ』
思いっきり撃沈しているケインにそう言うと、目をまん丸くして見つめられた。
『マ、マヒ…』
『かっくんの次に』
『……』
『……』
『……』
『……』