秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
あたしはあくまで会社を動かすほんの一部の一人だから、会社のためにならないことはすべて斬り捨てる。
偉そうだと言われようとなんだろうと、必要なことなのだから仕方ない。
あたしを呼び止めた谷川息子は、空気も読まず言った。
「最後に言わせてください真裕さん、好きです」
「あたしは嫌い」
それに対してあたしは、思いっきり素で返し、振り返ることなくその場を立ち去った。
「なんか…! 生理的に受け付けないのあの人…! 分かる、ねえ!? …っていねーし!!」
あれ!? あたし今かっくんに話しかけたのに、肝心の本人いないし!
どこ行った?
「かっくーん! かーっくーん? どこーねえ。ねえったらぁ…」
……いないよお…。
かっくん、どこ行っちゃったの?
だんだん不安になってきて、眉尻が下がってきたそのときだった。
「泣ーくなコラ」
「…!」
かっくん!
「どこ行ってたのっ」
「どこも行ってねぇよ。ちょっと話があっただけだ」
「話? 誰と…」
後ろから現れて、ぽんっと頭に手を乗せられた。
振り返って聞いてみると、「もう終わったからいい。帰るぞ」とはぐらかされてしまった。
…最近あたし、はぐらかされすぎじゃない?
なんとなーくそんな気になったけど、ぱらぱらと頭から追い払い、かっくんの腕に絡みついた。
「えへへー」
「お前可愛いな」
「ん?」
「いーや」