秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
「でもなんかショックー…。楓くんが結婚しちゃったなんて」
「でも真裕ちゃんよ? 首の骨折ったって敵いっこないわよ」
「首の骨折るって…。なんでそれ出てきたん…?」
「それに実際はみんなが思ってるほど凄そうでもないよね真緒ちゃんて」
「そこが凄いとこかもしれんで?」
まあ確かにね…。
時々豹変するしね、彼女。
僕らの知ってる真緒ちゃんと、世界的バイオリニスト藤峰真裕は全然違う。
やっぱり、藤峰家の次期当主なんだな…って思うことがあるし。
ウィーンにいる真緒ちゃんを思い出していると、通りすがりに囁く女の子達がいた。
「よかったわ…あんなド素人と楓くんが関係なくて」
「そうよね。第一あの四人と一緒にいること自体もう…なんか身の程知らず」
「でも今一緒に留学してるんでしょ? 生意気な女ね。いつもいつもぶりっ子しちゃってさ」
「そうそう。あんなんで彼がなびくとでも思ってるのかしら?」
…なびいてるけどねぇ…。
思いっきり惚れ込んでるけどねぇ…。
…まあ、それも天然だからなんだろうけど。
わざとやってたとしたら…。
わざと転んでわざと泣いてわざとしょうがないなと思わせて…ってか?
あり得ない。
あの真緒ちゃんがそんな器用なことできるはずがない。
「ド素人て…なにゆうてるん」
「修平」
「だってお前、アイツら真緒ちゃんのことゆうてんで?」
「ほっときな。しかも余計なこと言って、僕らが勝手にバラすわけにいかないだろ?」
「そらそうやけどなあ…」
修平が、不満そうに眉をひそめたときだった。
「くぉらあなた達」
すごく綺麗な声なのに…すごくドスの利いた声色で色々残念になってしまってる花梨が仁王立ちで現れた。