秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
「ど、どうしたのこれ…」
「はい。急遽フランスから取り寄せました。幸い藤峰家と関わりの深いパン屋がございましたので、急がせました」
「…そ、それはどうも…すみません…」
いや、ほんと。
ほんっとうにごめん。
そこまでやると思いませんでしたよ。
「ではごゆるりと…。あ、こちらのお紅茶はダージリンとなっております。パンとはよく合いますよ。それでは失礼いたします」
深々とお辞儀をし、カツカツと優雅に去っていく坂本さん。
あたし……心の底から尊敬しましたよ…。
「…ありがたくいただきましょうか…。ね」
「…そうだな…」
なんかいろんな人の気持ちがこもってる(気がする)このクロワッサンは、今まで食べたどれよりも美味しかった。
焼きたてだから超サクサクだし…❤
たまんないっ。ありがとう坂本さん! もう今度からは二度と言わないからね、本気の時以外!
「本気で言ってやるなよ」
「そお?」
そうして、無茶はありつつまったりしまくった一日は過ぎていった。
ああ…明日からは騒がしい毎日になるんじゃないかな。
それに明日にはもうかっくん、アメリカに発っちゃうしねぇ…。
最速で三日。最遅で一週間…ってところかな。
ああん寂しい~!
琥珀と梨音にいっぱい慰めてもらおうっ。
あ、そうだ。メイリーが泊まりに来たい来たいって言ってたから、呼んじゃおうかな?
かっくんいるときだと…ほら、さすがに気が引けるじゃない?
色々考えながら、今日もまた、かっくんの腕の中で眠った。
「おやすみ」
「…ん」