秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
哀しみの序章
「ああ…そうだな、行こう」
「きゃはっ❤」
やったあ!
今までで一番…いいクリスマスイブになるかも…。
嬉しさに、ついにやける顔を抑えきれなかった。
もっとずっと先のことだけど。
今から楽しみ!
「ね、どうやったら早く時間が経つかな?」
「早く経ってもいいのか? 練習しねぇの?」
「ハッ…!」
そ、そおでしたっ。
そもそもバイオリンしに行くんだったね…。
「今度はなににしよう? クリスマスだからー…ぽいやつがいいよね」
どんな曲があるかな?
「一曲じゃなくてもいいだろうな。クラシックから離れた曲もいいんじゃねぇの?」
「クラシックから離れた?」
「童謡…とか」
「すてき! それいいね!」
ゆっくり考えながら歩いている幸せな今、思いもしなかった。
そのクリスマス公演が、あんな悲劇を巻き起こすなんて。
あなたを誘ったりしなければ。
あなたを失うことにはならなかったのに――。
ごめんね、かっくん…。