秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
ぺっぺっと全員を車に押し込むと、「みんな…! 生きて会場で会おうね…!?」と代表して一番窓際にいた蓮くんの手を握って別れの言葉を告げた。
「ちょっ、そんな危ないわけ?」
『俺まだ死にたくねーなー…』
『いざとなったらあたし、あんたを盾にして自分の身を守るわ』
『ぬゎんだとてめ!』
『それいいわねーリジュ、あたしも入れて』
『おいおいおい!?』
言ってもまあ、大丈夫だとは思うけどね。
できれば野木さんをこっちにつけたかったんだけど…どうもね。
あの人ね、忠実過ぎてダメなんだ。
「真裕様を神崎なぞには任せられませぬ!」
…って言って聞かなかったんだよねー。
最後の切り札『命令』って一言を出しても、「わたくし、いつでもお暇を頂く覚悟は…いえ! 命を投げ出す覚悟もできております!」…だってさ。
命かけられるとさすがに困るんで、みんなはお兄ちゃんに任せることにした。
まあここから会場まではほとんどがまっすぐな道。
くねくねしてたりしないし、大丈夫でしょ。
「お嬢様! 楓様も、そろそろご準備なされないと…」
「あ、坂本さん…」
そ、それもそだ。
こうしちゃいられない!
「ほんじゃお兄ちゃん、しっかりね。…みんな、命運を祈る…! じゃあね!」
「ちょちょちょちょ真緒たん!?」
「…ま、諦めようここは」
「蓮二ぃー!?」
―ブオーンッ
…よし。行った。そんじゃあたし達も…と。