秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
「お、お嬢様!」
「あ、野木さん。車…出してくれる? ほら、そろそろ行かない…」
「べべべ別人…!?」
「……」
聞いてます?
ねえちょっと。
聞いてます?
「だからね…そろそろ行かないと時間的にもう…」
「う、美しい…。なぜこんなにも美しい…?」
「おーい…。ちょっと聞いてる?」
「私の真裕様が…! 大人に…!」
「……」
ダメだわこりゃ。
落ち着くまで待つか。あと五分までなら大丈夫だし。
ダメなら叩き起こせばいいや。
…というわけで待つこと五分。
「ハッ…! わ、私としたことが!!」
ようやく目を覚ました野木さんが、もう切腹しそうな勢いで土下座をし、もういいから行くよ、とずりずり車まで引っ張っていった。
「かっくん、今日のはね、かっくんのお披露目も兼ねてる(らしい)んだよ。これ持ってってね」
忘れずに…バイオリンを持たせてと。
そんじゃ、行きますか。
地獄…(訂正)パーティーへ!
「ああああ…。私めがお嬢様に見惚れてしまうなど…。なんというおこがましいことを…! どうやってお詫びしよう…!」
…って野木さん、しっかりしろよ!