秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
「あ……あれ真緒…?」
「楓もまたハンパないけど…真緒たん、格が違い過ぎやで…」
「人って…分からないね」
…ってなんだその感想は。
おめェさんのほうが分かんねぇよ。
『お、俺達ホントにとんでもないやつら相手にしてたんだなぁ…』
しみじみと言うアッシュの言葉には正直言って同感だ。
特にマヒロの…ギャップが。
ギャップがあまりに激しすぎて、同一人物と思い難いほどだ。
『そ、それでは…本日主催の谷川様でいらっしゃいます』
さっきの案内人が汗だくでマイクを持つ。
可哀想になぁ…。
威圧感に押しつぶされそうなんだろうぜ。
俺も…あんまり、あの状態の二人のそばには行きたくねぇな。
そう思っているうちに谷川と紹介された三人が入ってきた。
中年の男女と若い男。
ま、社長夫婦とその息子ってところか…。
『本日はみなさまにお集まりいただき―』
つたないドイツ語で長々と挨拶をすませると、ようやく立食パーティーとやらは始まった。
しばらくは自由にしてられるみてェだな。
肩の力抜けるぜ…。
『…っぷはーっ! い、息つまる…』
『なにも息止めなくたって。…相変わらずバカねぇ』
『だからハディはなんでいつも俺に冷てーのよ。…ハッ! 好きな子にはいじわるしたくなっちゃうあれ!?』
『冗談は顔だけにしなさいよ。殺すわよ』
『ご、ごめんなさい…』
…意外といつも通りじゃねぇか。