秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
会場内がざわめき出して、ようやく普通に会話もできるようになった。
リジュとメイリーは、呆けて珍妙な会話を繰り広げていた。
『人って……分からないわねぇ…』
『メイリー、それ、さっき彼が言ってたわよ』
『あら…そう? でも…だってそうじゃない。マヒロキレー…。敵わないわね…』
『あたし…! マヒロって実はまおちゃんでマヒロはマヒロで……あら? なにがいいたいのか分からなくなっちゃった』
…確かに人ってのは分からねぇな。
動揺するとわけ分からんこと言い出すのか。
『な、あの二人ずっとあのまま?』
『さあなぁ…。そりゃねぇだろ。…お、ほれ。立ったぞ』
それに気付いたのは当然俺だけではなく。
数々の要人や大御所達がマヒロに注目する。
「藤峰様、お久しゅうございます」
『そちら…もしやご婚約者さまの…?』
『相変わらずお綺麗でいらっしゃる』
「本日お見えになると聞いて、日本から飛んで参りましたのよ」
マヒロは誰にも見向きもせず、カエデの腕にそっと手を通した。
「おおー真裕様。このようなパーティーでお会いするのは久しぶりですな」
そのタイミングで現れた初老の男性。
どうもマヒロとは顔見知りのようだな…。
「東雲様。いらしてたんですね」
しかも…初めてマヒロが口を利いた。
「そちらの彼は…いつぞやの…? 確か婚約されたとか」
「…いいえ」
「や。違いましたかな。これは失礼……ん? するともしや…!」
「失礼いたします」