秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
察したらしい男性に会釈をすると、マヒロはその場を少し離れた。
『ええ…!? で、では本当なの!』
『ああ、そのようだ。東雲会長が今確かに呟かれた』
―ご結婚なされたのか…と…!
…おやまあ。
こんな形でバラしちまっていいのかね?
…っと…。
無用な心配だったかね。
さすがに騒ぎ立てるような輩はいねぇか。
『素敵なご夫婦…』
『若いのに、初々しさを感じさせませんな』
『ね…聞いた? 初々しさがないですってよ』
『おうよ。普段のあいつら……ラブラブだけど中学生みてぇなのにな』
ふっ…確かに。
色んな意味で、な。
リジュとアッシュの会話に頷いて、再びマヒロ達に目を…向けようとした。
そのときだった。
「ち、ちょっとなによ…!?」
「おいおっちゃん放しィな」
「バカか君は。日本語が通じてると思うか?」
「いんや、思わへんっ」
「堂々と言ってないでなんとかしなさいよ!」
背後のほうで、小声の日本語が聞こえた。
俺達がほぼ同時に振り返ると、中年のオヤジがカリンの腕を掴んでニヤニヤしている。
気持ちのわりぃ…。しゃーねぇな。
『カリンちゃん! …ほらシュン、行け!』
『そうよヒーロー!』
『行けシュン!』
『……おめェらな』