秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
「あそこに扉が見えるでしょ。カードキー差したら入れるから」
「おう」
「じゃあ頑張ってね」
そ…と一番近くにいたメイリーの両手も握るとそう言って、消毒液を持ってきたボーイに「あ…やっぱりいいわ。あなた自分で消毒でもして」と無茶なことを言ってカエデの腕に手を通して去っていった。
「は、はひいぃ…!」
…ちなみにそのボーイは、またも間の抜けた返事をして本当に消毒液をかぶっていた。
アイツって……すげぇのな。
影響力ハンパねぇじゃねぇかよさっきから。
こんなことで実感するっつーのもどうなんだよ。
「なんていうか…」
「いつも通りなような…」
「それでいておしとやかなような…」
『暴走癖はそのままだわよ』
『でも暴走の仕方が大人しめだな』
『大して変わらないような気もするけど』
『ううん。あくまで藤峰真裕だった』
そりゃたしかに。
それからはもう、誰も話しかけては来なかった。
俺達がマヒロの招待客だと知ったからだろう。
やたらと手を出してマヒロの機嫌を損ねれば、それこそ死活問題…。
それを思い知ったようだった。
「あ、これ美味しいわよハディ」
『生ハムメロンじゃなーい! 美味しいのホントに?』
「食べてみたら?」
『そ、そう? それなら…』
「お。食べるのね。…なーんだ。言葉通じなくてもなんとなく分かるわね」
『まああたしは分かってるしね』
「え? 美味しくない?」
『まだ食べてないったら』
「そんなことないわよ食べてみたら?」