秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
『なに? 今なんてったアッシュ。マヒロが?』
「どうしたのリジュ…」
『いや、なんかカエデに支えられるみたいにして入ってったけど…』
「ちょっとなによ!」
気になって仕方ないらしいカリンにいちいち通訳してやると。
「ちょっとウィーン版楓、貸しなさいそれ!」
「あ、おい…」
胸ポケットに差し込んでいたカードキーを奪い取ると、カッカッとヒールの音を立てて扉に向かって言った。
『待ってよカリンちゃーん!』
『あ、俺も行く』
『あたしも!』
『アッシュ邪魔』
『ほわっつ!?』
「ちょ、置いていかんといてぇな」
「お前がとろいからだよ」
「うざ!?」
「あーはいはい…うるせェよおめェら」
―ピーッ
「おっ…なんか気持ちいいこれ」
カードキーを入れたことに妙に感動しながら、カリンは扉を開けた。
「真緒ー? だいじょう……」
―バッタン
「ん? なんで閉めるんやコラ。もっぺん開けなあかんやん」
「開けたいんじゃないの?」
「おお、そうか」
「違うわよバカ蓮っ!」