秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*

……ハズだった!!

なのに! なんで! こうなってるのかな!?


「着物姿も然り、ドレス姿も素敵ですね、真裕さん」


「……それはどうも」


あたし……あなたに褒められると、なんかかっくんにけなされるくらい嫌なんですけど。

ほんとやめてほしいな…。

谷川肇。


「おや? お友達連れだったんですか」


「ええ。…もう帰りなんです。失礼してもよろしいかしら?」


「そうなんですか? でもまだ…」


「当主が代わりに残っています。わたくしではまだ力及びませんので」


「そんなことないのに…。すごく綺麗だし」


関係ねーだろ。

いいからどけよそこ。

そこ出たらもう車待ってんだよ。

てかなんでここにいるのよ。

あなた主催者なんだから会場にいろよ。


『ね…誰?』

『……真裕がこの世で一番毛嫌いしてるヤツ』

『なにそれ?』

『あのマヒロがああも露骨にねえ…?』


「…見て分かりませんかね? こいつは体調がよくない。帰らせてもらうぞ」


「なに…?」


一瞬眉をしかめた谷川肇を無理やり押しやって、かっくんはあたしを連れて階段を下りた。

後ろにみんなが続いてるのは当然確認して。


「チッ……」


背後から聞こえた、悔しそうなヤツの舌打ちに、思わずほくそ笑んだ。


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