Strawberry & Happy Birthday
「あの、八王子先輩、ちょっといいですか?」
「何だい命清さん?」
「えっと、その、ここじゃあれなんで…」
周りからの視線が痛すぎるので私はあいつを非常階段の踊り場へと連れ出した。
こんなやつと二人っきりになるのは死ぬほど嫌だけど、やつの本音を聞くにはちょうどいい。
「こんなところに連れてきて…一体何の用だい?」
「…別にこれといった用事はないんですけどね八王子先輩。いい加減本音を言ったらどうです?」
「本音?」
「演技してんだかどうだか知らないですけど、バレバレなんですよそのムリある笑顔。
…私に感謝してるとかさ、ウソもいいとこでしょ。こんなパーティーにまで私を引っ張り出して。私に恥を欠かせたいんですか?それがあんたの復讐なの?みみっちくて腰抜けなのは相変わらずですね」
「…やれやれ。そういうところは君も全く変わってないね。俺が本気で君に感謝するわけないとわかっているくせにわざわざそれを確認するなんてね」
そう言ったやつの顔から笑顔の仮面が消えた。