Strawberry & Happy Birthday
撫子たちの言う面白いものを見るため、撫子組の控え室へと足を運んだ。
メイク道具やら衣装やらの他にテーブルに置かれていたのはポータブルのDVDプレイヤー。
「んと、すみれちゃんに教えたことあったかどうか忘れちゃったけど、私が着る衣装には全部小型のカメラが仕掛けてあるんだ。発信機とかもかねてるけど。主にボタンとかコサージュとかにね」
えっ!?
そうなの!?
それは初耳だよ。
てゆーかそれ、プライバシーも何もあったもんじゃないわね。
「一回誘拐されてからずっとそうなの。パパったらいつまでも私のこと子ども扱いするんだもん。もうそんなことあるわけないのにねぇ」
いや、それはどうだろう…。
世間にはあまり知られてないけど、一応お嬢様なわけだし。
念には念を入れてるんだな撫子のお父さんも。
つか普通に生きてて誘拐される経験なんてしないからね。
「ちゃんと藤矢くんが助けに来てくれたんだし。パパもいい加減子供離れしてほしいんだよね」
「いやそれあたしも助けに行ったからな」
「右に同じ」
「え?そうだったっけ?」
…どうやら王子様藤矢くんしか撫子の記憶には残っていないようだった。
こっちは見つけるのにあんだけ苦労したというのに。