Strawberry & Happy Birthday
┣No.18.5 straight
次の日私たちは柾を屋敷から連れ出した。
苺市から遠く離れた街にある別荘に柾を移した。
当然フルートも捨てた。
私の手で焼き捨てた。
ここまですればもうフルートも戻ってこない。
彼女も追っては来られない。
今度こそ柾も諦めがつく…。
ようやく私たちも安心できる。
だけど、違った。
私たちはまだ彼女の〝強さ〟を知らなかった。
二週間後、彼女は私たちの別荘に現れた。
あの時と同じ傷だらけの姿で、手には私が燃やしたはずのフルートを携えて。
-「…あなた……!!一体何なの!?ここまで柾を追いかけてきて…!!そのフルートを吹けば柾の身体はどうなると思ってるか知ってるの!?あなた、柾を死なせたいわけ!?」-
-「…そんな…そんなくだらねぇ理由でここまで来るかよ!!」-
私はその時初めて彼女の瞳を目にした。
真っ直ぐ、ひたすらに真っ直ぐなその瞳を。