記憶のつぶ
幸は記憶がありません!」
「え?」
おじさんとおばさんの声が重なる。
「それで今までこの人が幸さんを面倒みてくれていたそうです。」
いつの間にか克哉は幸の前にいた。

おじさんとおばさんは克哉を見る。



昨日聞いたことをまた聞く。
「そうでしたか…ありがとうございました。」
「いえ!!こちらこそ、病院にも警察にも届けずにすいません。」
「お父さん、幸を病院に‥」
「そうだな。」
「では、俺はこれで‥」
「どうぞ、今日は家にお泊りください。」
「いや、明日から仕事ですので。」
「でしたら、なにかお礼を‥」
「お構いなく。」
「いえ、そんな‥今まで幸がお世話になったんですもの。」
「いや本当に。」


「駅まで送りますか?」
「いいんですか?」
「昨日おごってもらったお礼です。」
「じゃお願いします。」

「ユキ、元気で。」
「あの!あの…」
「‥なに?」
「住所。御礼したいから…」
克哉は紙にさらさらと書き幸に渡した。
「いつでも連絡くれてかまわないから。」


「ユキの事お願いします。」
言われなくても…‥
いや…
「貴方がこのまま付き合った方がいいんじゃないですか?」
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