記憶のつぶ



『1年たっているということなので100%ではありませんが、精神的なものだと思います。大丈夫。いきなり思い出すって事あると思いますよ。その他は異常ありません。
焦らずに穏やかに過ごしてくださいね。』



お医者さんは淡々とのべた。

それから私は家の中で穏やかに過ごした。
今までとあまり変わらない。

「幸〜お昼よ〜」

お母さんの間延びした声は段々私の中にくすぐったさを生み出した。

お父さんは月曜日から仕事に行った。
『あの人はかわらずね。』
お母さんはぽつりと“初めての朝”に呟いた。
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