記憶のつぶ
戻る‥‥


「幸〜山川さんに送るものないわね。」

「まって‥これも。」
と、ちょっと躊躇いながら手紙を差し出した。


お母さんは克哉さんにお礼だと菓子折りとタオルセットを買ってきて、せっせと箱詰めしていた。

「やっぱり直接お伺いした方がいいかしら〜‥」

まだ迷ってる。
お父さんは『送るだけで十分だ。』と言っていた。
ちょっぴり怒っているように感じたのは気のせい‥?


お母さんは私から受け取りながら、
私の顔をじーと見て、

「‥どう?なにか‥」
と言いかけてやめた。


いつも何かいいたげにして何も聞かない。

たぶん聞かないようにと言われてるのかもしれない。
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