記憶のつぶ
「知ってますか?」
「あぁ‥俺達の同級だからな。」
「綺麗な人ですよね。」
『朋、まだフリーでいるよ。』
なんだか‥
余計な事思い出したな。
そんなのを掻き消すように話題に入った。
「自分の年って覚えてた?」
少し考え、
「覚えてないっていうか‥必要なかったので考えた事なかったですけど、
そうですね。自分が何歳かはわからなかったですね‥」
やっぱり。
幸はどちらかというと童顔であまり実年齢にみられないタイプ。
「俺が克哉さんに歳を聞いた時、あの人はこう言ったんだ。
幸と同い年だと。」
「え‥‥‥‥?」
「おかしいよな‥
それで俺は思った。あの人は前から幸を知っていたんじゃないかと‥
元カレじゃないかと思う。
覚えていないかもしれないが、
いざこざがあったから‥」
「‥いざこざ‥‥」
言うのは気が引ける、
しばらく幸は怯えていた。
出来ればここの部分だけ一生忘れていてほしい。
「いざこざって‥?」
「色々あってその彼氏とは別れたから‥
でも幸を手元に置いておきたいって思っていてもおかしくないと思う。」