記憶のつぶ

衝撃がきた。

痛いというか、自分に何が起きたかわからなかった。

殴られた、と思うのに数秒かかった。

殴られたのは初めてだったし、まさか殴られるとは思ってなかったから。


『すぐ別れる、別れるって‥‥‥』

真っ直ぐに克哉を見つめ、
『最低‥―‥‥』

頬がジンジンしてる。

『きゃ―‥っー‥』

『お前はそうやってすぐ‥』

ドスン、
克哉の手に何本もあたしの髪の毛が絡まっていた。

痛い‥

『何‥すんのよ!!』

しばらく応戦する。

殴られまいと手を前にやったり、隙をみては殴ってみた。
あたしの力では何もダメージをあたえなかったけど‥


泣いたら終わりだと思った。
泣いたら負けだと思った。

泣くなんて嫌だった。



けどダメージは着実に積もり、あたしは自分で弱って行くのを感じた。

克哉の目はドンドン曇っていく‥
同時に激しさをました。

応戦はする力は―‥‥





なくなった。





いつ克哉が馬乗りになっていたのか、
あたしはいつから袋だたきにあってるのか、

こめかみに痛みが続いてる。

ゴンゴン奥に響く‥


『‥やっ‥‥‥』

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