記憶のつぶ

それはいいことだったのだろう。
そう思う。

後日若い警察官が尋ねてきて、これで最後だからとまた同じ事を聞いてきた。
あたしも同じ事を繰り返した。
帰り際、
『相手の人、相当反省しているみたいだから。』
そういい残して去って行った。

あたしを少しでも安心させる為だったのだろう。



けど安心はできなかった。


そんな家から出ないあたしを心配してか、あんなあたしを見たからかたまに裕一郎が顔を出してくれた。

普通に大胆に接してくれていた。


『お前きちんと肌の手入れしてるのか〜』
とか、平気で言ってきた。

最初は何も返せなかったが
徐々に減らず口もたたけるようになった。



ただいくらたっても駄目なのが、


『あ?なんか背中についてるぞ。‥虫か?』

『え、やだ〜』

『動くな。取ってやるから。』


『いい!!触らないで!!!』


『‥わりぃ‥』

『‥‥‥ううん。ごめん‥‥』



人に触られるのは怖かった。
どうしても駄目だった。


‥―‥‥

『あ!!』

『なんだよ。いきなり〜』

『これ映画になったんだ!うわぁ〜見たいなぁ〜』

『行けばいいじゃん。』

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