記憶のつぶ
目を覚ますと暗かった。
でも廊下から漏れる明かりで家ではないことがわかった。
たぶん雰囲気的に病院。
あ、
あたし、
今はいつなんだろ。
夢を見ていたせいか何だか錯乱している。
‥
眠ろう。
―‥―‥‥
シャ‥
カーテンの開く音で目が覚めた。
真っ白い姿が眩しい。
「小岩さん。目が覚めましたか、今先生呼んで来ますね。」
「気分はどうですか〜」
あ、
この先生。
記憶無くなってた時の‥
「はい。大丈夫です。」
「何か思い出した?」
頷く。
「そう。大丈夫?」
「大丈夫です。」
にこりと笑って、
「身体に異常はないよ。元気なら今日に退院出来るよ。」
「します。」
「じゃ、手続きしとくね。」
先生が去って行ったのと入れ代わりに朝ごはんが運ばれてきた。
ご飯を食べていると母がやって来た。
「幸!!大丈夫」
「うん。今日退院出来るって。」
「幸、あなた‥?」
「うん、戻ってる。ごめんね、心配かけて。」
泣きそうになっていた。
「やだなぁ〜もう〜」
「よかった。うん、よかった。」
母にはここ数年心配かけてばっかり‥