記憶のつぶ
「‥大丈夫?」
「うん。」
母の歯切れの悪さ“克哉さん”の事を聞いたかな?
まー‥いずれわかることだわ。
あたしは御膳を下げようとベットをでた。
「もぅ‥食べないの?」
少しずつ手はつけたものの、お腹が満たされる量は減っていない。
「うん‥なんか食欲なくて‥」
「そう‥あたし下げてくるわ。休んでなさい。」
「ごめん。ありがとう。」
ちょっと疲れた‥
たぶん精神的に。
あたしの中で記憶の“ある自分”と“ない自分”が混在している。
それはとても疲れる。
たぶん克哉の存在がそうさせてる。
記憶のない時の克哉さんはあたしの知ってる克哉ではなさすぎる。
名前と顔が一緒の別人ではないのか‥
‥もしあたしが記憶をなくさなかったり、早々と記憶を戻してしまったら…
また…
大変な事になったのだろうか………