記憶のつぶ
「じゃ、お先。」
手を挙げ朋に別れをつげる。
「裕一郎!」
「ん?」
何かいいたげな目。
だけど朋から言葉は続かない。
「‥今度皆で飲もー…」
悲しそうな笑顔。
「あぁ。飲もうぜ…」
後は何も言わずに別れる。
いつか飲む日が来るんだろうか…
「戻りました〜」
「混んでた?」
「当たり前じゃないないですか‥」
平然と聞く林さんは意外に裏ボスだ。
社長も一目置く存在。
飯も食って一段落した時、携帯が鳴った。
幸の家からだった。
「はい?」
『あ!裕一郎くん。忙しい時にごめんね。』
幸の母さんからだった。
「今昼ですから大丈夫ですよ。」
『幸がね!山川さんに会いに行くって言うのよ!』
「えっ‥!」
奴に会いに行く?
なんで‥…