記憶のつぶ
―…―…‥
「幸!?」
結局幸の家に来れたのは仕事が終ってからで、あたりはもぅ真っ暗だった。
幸は玄関で靴を履いていた。
「裕一郎‥?どうしたの?」
「どうしたって‥
荷物多くないか?」
「送るはずだった荷物入れたから。ってお母さん連絡したのね。」
「退院したばっかりで、誰だって心配するだろ‥」
手を止め、考えるように俯いたままだ。
「あたし、すべて終わりにしてスッキリしたいの。」
俺との事もスッキリしたいのか?
出かかった言葉はのどを通過することはなかった。
付き合ってるかも謎だからだが。
「俺も行くよ。」
「え?」
いつの間にかおばさんがいて、
ちょっと不安そうだった顔が明るくなる。
「じゃ、行ってきます。」
「ちょっ‥裕一郎!!」
荷物を俺が持ち、ずんずん進む。
あっという間に俺らは新幹線の中。
「男って身軽でいいよね。」
コンビニで下着は買うことにして、何も持つことなく新幹線に乗った。
まるで
ちょっくら、コンビニまで、
だ。
服は1日位どおって事なし。
「‥会ってどうすんだ?」
「‥‥どうするんだろうね。」