SPIRAL GAME
「この子は駒酉 秋(コマドリ シュウ)」
「俺達の妹みたいな存在」
「妹みたい? 妹じゃないの?」
和音の質問に麗は歯を見せてニィッと笑う。
その笑顔を浮かべたまま首を縦に振る。
蓮は抑揚の薄い声で"拾った子"と言った。
拾った子と言う言葉に和音は再び目を見開く。
蒼也はへー、と呑気に相づちをうっている。
瞬きを繰り返す和音を秋は寝ぼけ眼のような虚瞳で見つめてくる。
和音は少し眉を潜めたが必死に笑顔を作り顔に貼り付けた。
そして右手を震わせながら秋に差し出す。
「宜しくね…?」
「………」
秋は小さくコクリ…、と頷いてから右手を差し出してきた。
確りと握手を交わした和音の笑顔は愛想笑いから本物の笑顔に変わっていた。
それを見た秋は己が抱き締めていたアンティークドールの背中にあるジッパーを下ろした。
中からは針や糸、布が沢山出てきた。
何を始めるのかと見ていた和音と蒼也の目の前で秋はあっという間に兎のぬいぐるみを作ってしまった。
作り始めてまだ五分も経っていない。
これまた二人は目を瞬かせる。
和音たちのアホずらが相当面白いのか麗と蓮はクスクスと必死に笑いを押し殺していた。