SPIRAL GAME
体育館内に高くそれでいて柔らかな音楽が流れ始めた。
胸のなかに染み込むような甘美なメロディに館内の生徒、教師は思わず目を瞑りフルートの音色を聞き入る。
掠れない音に誰しもが安らぎを与えられていた。
高音から低音を自在に操り和音はIMITATIONならでわの力を使った。
音楽が止まると一同拍手をした。
体育館内は和音に対する拍手に包まれた。
和音も頬を染めながら微笑みを浮かべる。
頭を丁寧に下げてから顔を上げてもう一度微笑んだ。
その笑顔は幸せで一杯だった。
そんなとき 和音の真後ろから人気は大きな手叩きが聞こえてきた。
振り返ると同じクラスにいたと思われる男子生徒が歩み寄ってくる。
彼は和音の目の前にたどり着くと満面の笑顔を浮かべて自己紹介をし始めた。
「すごかったよ? 僕は文小路 静流(アヤコウジ シズル)。 よろしく」
まるでスカウトをするように手を差し出してきた静流に和音はたじろきながらも手を握る。
静流は光栄とでも言うかのように両手で和音の手を包み大きく上下に振る。
「ゴホンッ!」
がらがら声の咳払いが響き渡る。
ステージに振り仰ぐと教師の中でも一番年配だと思われる男性がマイクを片手に立っていた。