SPIRAL GAME
「きゃぁ!?」
驚きのあまり尻餅をつきそうになった和音は痛みに耐えるため瞼をきつく閉じる。
…しかし来るはずの痛みがなかなか来ないため和音は恐る恐る瞼を上げる。
そこには綺麗な瞳と整った顔が間近に迫っていた。
鼻同士が触れるほど近い。
少し動いただけで唇まで触れてしまいそうなほどだ。
とは言え動けないため触れることは無い………
「………」
「あの……ちか…」
和音が言葉を発すると目の前の艶やかな唇が微かに動き「あー…」と囁いた。
そのまま視界端の黒髪がサラリと肩から垂れた。
その途端、和音の唇に柔らかくて暖かいものが触れた。
目を見開く和音から離れていく温もり。
璃亞も口を押さえながら赤面している。
何が起きたか解らない和音は瞬きを繰り返し膝から崩れ落ちた。
そんな和音を支える丈夫そうな腕。
見上げると交わる熱い視線。
「あ…」
微かに漏れた和音の吐息に相手は微かに口の端を持ち上げた。
「俺は白獅 蒼也(ハクジシ ソウヤ)。 マジシャンのIMITATIONだ。 そのアホずらなおしたほうがいいよ?」
そう言うと蒼也は和音を離して教室に戻っていった。