SPIRAL GAME
「あ…。 何てコトしてくれるの…」
そうとう不機嫌になったのか蒼也は傷に指を滑らせる。
そんなことを気にせず秋は双子に声をかけた。
「麗~ 蓮~ …アイツら殺らないと殺られる…」
「ですね~…しょうがない…」
「殺るか…」
麗と蓮は手首にアクセサリー感覚でぶら下げていた数珠玉を外した。
秋は和音の手を握りながら手を前に翳す。
一瞬のうちに秋の小さな手には不釣り合いな巨大な鋏が現れた。
カシャン…と鎖を揺らしながら秋は和音に笑顔で手伝ってと囁いた。
和音が小さく頷いた瞬間、麗と蓮は体の周りに火の玉を幾つも燃やし始めた。
巨大な火の玉は揺らめきながら勢いを増す。
「行くよ~」
「…」
麗の軽々しい声を合図に双子は火の玉を金髪の少女のチームに投げ飛ばした。
火の玉は雄叫びを上げながら少女のチームを燃やし始めた。
悲鳴が聞こえなくなった時、秋は竜巻の大元の男性がいるチームに向かって鋏をダーツ感覚で投げた。
途端、いろいろなぬいぐるみが現れそのチームを押し潰してしまった。
和音達は目を見張る。
傷を負わせるだけの簡単なゲームがこんなことになってしまったのだ。
「どうし…て…?」
和音の呟きを掻き消すかのようにスピーカーからノイズ混じりに声が聞こえてきた。
タイムアップと言った寿潟の声は和音に安堵をもたらした。
時計を見るとAM5:00と表示されていた。
ふと気がつけば辺りは微かに明るくなっていた。