SPIRAL GAME


「今までで気付かなかったの? そっちが麗だよ」
「ふぇ!?」
「蓮ばっかりキスして羨ましいな~♪」


麗は蓮の格好でニィッと口を歪ませる。
一方、前の麗の格好で毒をはく蓮は眠いとばかりに瞼を擦りだした。
もう一度大きな欠伸をしてから立ち上がると和音の頭をポンポンと優しく叩いた。
そのまま双子は校舎へ入っていった。
途中、帽子を交換しているところを見て本当にひっくり返っていたことに驚く和音だった。

ふと 首に冷たい感覚が走り手を滑らせる。
そこには太陽の光を反射して綺麗に光るシルバーのネックレスが輝いていた。
落ち着きのある風情は和音の普段着と良くあっていた。

和音は落ち込む自分を慰めてくれたと思い口元を緩ませた。


――――――。


「あ 蓮、殺気」
「あ 麗、殺気」


双子はまんま同じ顔をして同じ声色で同じコトを喋った。
後ろを振り向くと数人の教師が立っていた。
彼らの手に握られているのは鉄パイプ。
他は銀属バットやスコップ等。

見るからに危険を感じた双子は一歩後退りをする。
教師たちの瞳には光がなく自らの意思で動いている訳ではなさそうだった。
アイコンタクトをとってから双子は踵を返し長い廊下を駆け出した。
全力で走っている双子に追いつく勢いで教師たちも駆けてくる。

仕方がないので麗と蓮はタロットカードを取り出し教師たちの足元に飛ばした。
廊下に刺さったカードには茨の模様が描いてあった。


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