SPIRAL GAME
硬直。
動けなくなってしまった和音に璃亞が駆け寄ってくる。
かなり慌てふためいている。
和音は右の指で唇をなぞる。
なんとも言えない感覚に呆然としていると目の前から掌が差し出された。
それをたどって顔を上げると桃色の長い髪をハーフアップにしている綺麗な女の人と目があった。
自ら光を放っているようなアクアマリンの瞳に言葉を失った。
「大丈夫かしら?」
「あ…はい!」
和音は差し出された手を素直に握り立ち上がらせてもらった。
微笑んでいる彼女はマリア様の様だった。
大きくふくよかな胸を見ると和音より年上だろう。
和音は思い出したように口を開いた。
「あの ありがとうございました! 私 華囃 和音です」
「ふふ 可愛らしい名前ね。 私は本詩 美華(モトウタ ミカ)。 宜しくね 和音ちゃん」
美華はふわりと微笑むと手を再び差し出してきた。
その手を確りと握り返した和音の頭に璃亞のチョップがクリンヒットした。
「ぎゃ!」
「はじめまして! 私は璃亞! 和音の親友です!!」
「はじめ…まして」
突然の登場に美華は固まるが璃亞の無邪気な雰囲気にあてられ自然と顔を綻ばせる。
満面の笑みを浮かべている璃亞の頭に今度は和音がチョップを食らわせた。