SPIRAL GAME


その中でも時に目を引いたのが和音のファーストキスを奪った蒼也とまるでお人形のように可愛らしい女の子だった。
ボロボロなアンティークドールを抱えながら椅子に座っている姿はまるで幼いお姫様の様だった。
蒼也も窓の外を見ながら隣の男子生徒と話している。
その姿は一言では言い表せない何かを秘めているようだった。


「………あ」
「!?」


蒼也と目が合った和音は慌てて顔を反らした。
心なしか頬に熱が集まる。

首を大きく振りながら座席表を見る。
その瞬間和音はショックを受けた。
隣の席は蒼也だった。
もう隣は蓮。 前は麗。
後ろは見たことがない名前だった。

周りが全員男のこともそうだが何より蒼也と蓮が隣のことに衝撃を受けていた。


仕方がないので璃亞と美華から離れ自らの席に腰を下ろした。
途端に麗と蓮、蒼也も着席した。
露骨に顔をしかめる和音を見て麗が眉を潜める。


「そんな顔しないでよ…傷つく~」
「ばーか」
「何か用…? 用無いなら前向いてよ…」


顔を見るのですら嫌な鏡影兄弟に声を低くして顔を背ける。
…が 背けると隣の蒼也と視線が交わってしまう。
またまた顔をしかめる和音に蒼也は肘をつきながら唐突に質問を投げ掛けてきた。


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