狼と兎~a childhood friend~
☆プロローグ
『ねぇ、ひじり!』
『何、梨空?』
『大人になったら私のお嫁さんになって!』
『お嫁さん?お嫁さんになるのは梨空だよ?僕はお婿さんになるんだ』
『じゃあ、ひじり!大人になったら私のお婿さんになって!』
『いいよ』
『約束ね!』
あたしは布団を端にめくり、上体を起こし、頭を抱えた。
はぁ~…
またあの夢か……
まぁ、夢と言うか、昔に実際あった出来事なんだけどこの夢は…
何で今になってこんな夢を……
今日は月曜日。
週の一番初めって一番、気分がのらない日。
あたしはベッドから降り、リビングに向かった。
そしていつものように洗顔して高校の制服に着替え、ダイニングテーブルにおいてあるコップに入ってる牛乳を捨てて水を入れて飲んだ。
「おい、梨空。最近朝ごはん食ってないじゃないか。いつも水だけ飲んで」
「うるさいな。別にいいじゃん」
お父さんが椅子に座って新聞読みながらそう言った時、
「梨空?ちゃんと食べなきゃダメよ?体に悪いわよ」
あたしがリビングから出ようとしたのを止めるかのようにお母さんがお父さんのコーヒーを注ぎながら言った。