狼と兎~a childhood friend~

あたしは聖の横を早歩きで通り過ぎて学校に向かった。


「お前そんなに足音たてて歩くなよ。地面に亀裂が入ったらどうすんだ」


聖があたしと同じペースで歩きながらそう言った。


って言っても聖はあたしより背が大きいから歩幅もあたしより聖の方が大きい。


だから聖はそんなに早歩きで歩いてない。


「亀裂なんか入るか!あたしゃそんなに体重は重くない!」


「おい、梨空…」


聖が突然立ち止まって声を震わせた。あたしも立ち止まって聖の方に振り返った。


「何だよ」


あたしがぶっきら棒にそう言うと聖が前方を指差した。


あたしはその指をたどる様に差してる方向を見た。


するとそこには、


「そんな事言ったらあの人に失礼だよ」


結構太った、立派な方が歩いてらっしゃった。


「……」


「ね?」


「…そんな事を言って人を指差してるお前が一番失礼だわ!」


あたしはアホらしくなってまた早歩きで歩き始めた。


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