狼と兎~a childhood friend~
聖はあいつは性格が全然読めない。
だってSになったり、大人しくなったり、ハチャメチャ系になったり…
多重人格なんじゃないって疑う位性格がコロコロ変わる。
まぁ…最近は静かめオンリーだけどあたしは餌に飢えた狼にしか見えない。
たまにあたしに『食わせろ』なんて言ってくる。
幼馴染に『食わせろ』なんて言ってくる幼馴染初めて聞いたんだけど…。
だけど今、聖には彼女がいるって噂。
あいつは顔だけは文句なしにカッコいいから。…あたしは昔から一緒にいるから別にそんな風に思わないけど。
「なぁ梨空~」
聖があたしの肩に腕を回していきなり話しかけてきた。
「…何」
「今日、学校終わったらお前ん家行くから」
「は?」
あたしが素っ頓狂な声を出すと聖はあたしから離れて、
「今日こそお前を食う」
そう言いながら不敵な笑みを浮かべ、あたしより前を歩き始めた。
「食うって聖、食うならあたしじゃなくて自分の彼女食えよ!」
聖、何を言い出すかと思えばそんな事…。
あいつ本当に餌に飢えてる狼みたいだな。まぁ、自分の彼女食えって言うあたしもどうかと思うけど…
すると聖は立ち止まって、あたしの方は一切見ず、
「今の彼女、もう食べ飽きたんだよ」
そう言うと聖はズボンのポケットに手を突っ込んで歩き出した。