狼と兎~a childhood friend~


聖はあいつは性格が全然読めない。


だってSになったり、大人しくなったり、ハチャメチャ系になったり…


多重人格なんじゃないって疑う位性格がコロコロ変わる。


まぁ…最近は静かめオンリーだけどあたしは餌に飢えた狼にしか見えない。


たまにあたしに『食わせろ』なんて言ってくる。


幼馴染に『食わせろ』なんて言ってくる幼馴染初めて聞いたんだけど…。


だけど今、聖には彼女がいるって噂。


あいつは顔だけは文句なしにカッコいいから。…あたしは昔から一緒にいるから別にそんな風に思わないけど。


「なぁ梨空~」


聖があたしの肩に腕を回していきなり話しかけてきた。


「…何」


「今日、学校終わったらお前ん家行くから」


「は?」


あたしが素っ頓狂な声を出すと聖はあたしから離れて、


「今日こそお前を食う」


そう言いながら不敵な笑みを浮かべ、あたしより前を歩き始めた。


「食うって聖、食うならあたしじゃなくて自分の彼女食えよ!」


聖、何を言い出すかと思えばそんな事…。


あいつ本当に餌に飢えてる狼みたいだな。まぁ、自分の彼女食えって言うあたしもどうかと思うけど…


すると聖は立ち止まって、あたしの方は一切見ず、


「今の彼女、もう食べ飽きたんだよ」


そう言うと聖はズボンのポケットに手を突っ込んで歩き出した。





< 4 / 15 >

この作品をシェア

pagetop