狼と兎~a childhood friend~
☆兎と飢えた狼
・目撃
あたしは見てしまった…
餌に飢えた狼が獲物を食しているところを…
それは、あたしが先生に頼まれて職員室に配布物を取りに行く時だった。
職員室に行く途中に今は使われていない資料室がある。
いつもそこは鍵がかけられてドアはがっちりと閉まっている。
しかしこの日はなぜかドアが開いていた。
そしてあたしはここでそれを目撃してしまった。
あたしはいつもは閉まっている資料室が開いている事を不思議に思い、不意に資料室の方を通り過ぎざまに見た。
一瞬見えたその光景に思わず足を止めてしまった。
あたしが見たもの。それは、
飢えた狼が机に座ってて、その上に向き合うかたちで綺麗な一匹の兎…いや、これは狐と言ったほうが良いかもしれない。その狐が狼の上に座ってた。
その狼と狐はその机の上で絡み合っていた。
狼は上半身裸、狐は制服が肩の下までずれ落ちてきている感じ。
時々、狐の黒髪に隠れている綺麗な白い首筋がちらりと見える。
…。
……。
何やってんだ、あいつは。
馬鹿だろ。やるならドア閉めろよ。
外から丸見えだぞ、おい。
そう。その飢えた狼とは聖の事。