狼と兎~a childhood friend~
聖は早くも新しい獲物を見つけたらしく、さっそく食していた。
しかも学校で。
あたしは何だか気まづくなって、ゆっくりとドアを閉め、その場を後にした。
何やってんだ、あの馬鹿は。
まだ第一目撃者があたしだから良かったけど、もしこれが先生だったらどうすんだよ。
あたしだったから、丁寧に気をつかってドアも閉めてあげたけど。
これが先生だったらタダじゃ済まされないぞ。
昨日、彼女に飽きたって言ってて、あたしが新しい獲物みつけろって言ったら次の日これだ。
どうやら聖は獲物を捕まえるのが得意らしい。
しかもそれも、傷ひとつつけずに無傷で捕え、後からじっくり食す。
あいつは狩りのプロだな。
まぁ、あたしはあんな奴に絶対狩られないけど。
あたしは職員室で配布物を係の先生から受け取り、教室に戻った。
教室に戻る途中、資料室の前で誰かが立ってた。
近くまで行くとそれは女子でしかも、泣いてる様子。
そのまま通り過ぎるのはなんだか不に落ちないと思い、その女子に問いかけた。
「ねぇ、どうしたの…?」
「…うぅ…ヒック…」
女子は泣いてばっかで何も答えない。
「ねぇ、何があったの?」
「…ヒック…ヒッ…」
女子は嗚咽ばっかで何も話さない。