狼と兎~a childhood friend~
同じ女子として許せん。
相手が聖ときたら尚更だ。…よし。
「ねぇ、名前なんて言うの?」
「…え?」
目を真っ赤に泣き腫らした女子が顔を上げて素っ頓狂な声を出した。
「名前」
あたしがそう言いなおすと、
「…み、ミホリ…」
「ミホリ?変わった名前だね。…あたしは梨空」
「梨…空…ちゃん…」
「ねぇ、一緒にさ、聖に仕返ししない?」
「え?」
「あたしもあいつに色々とやってやりたいからさっ」
あたしはミホリの腕を掴んで立たせた。
「あ、あの…」
「ミホリ、さっそく聖に仕返しするよ!」
あたしがそう言うとミホリは一瞬、間をあけた後、
「はい!」
と、笑顔で言った。
そしてここから、あたしとミホリの変な聖への仕返しが始まった。