Innocent shine―光の道しるべ―
「あー、楽しかったぁ!」
カラオケ店から出て開口一番、悠希は明るい声を上げた。
『テスト終了の打ち上げ』
悠希と美緒のそれは、つまりはカラオケで歌いまくることを指す。
今回もフリータイムで美緒と二人歌いっぱなしだったものだから、冷房のきいた室内にいたのに悠希は全身じっとりと汗ばんでいた。
首筋に髪の毛がまとわりつくが、今はそれすらも心地好い。
「ほんと!かなりスッキリしたねー」
美緒も白い肌をほのかに上気させ、満面の笑みを浮かべている。
「テスト終了後はカラオケに限るよね」
「うん、おっきい声出すと、それだけでストレス解消になるもんね」
テストという心の重石が消え、二人の足取りも声色と同様に自然と弾んだ。
夏至が過ぎ去り、日没も驚くくらい遅くなってはいたが、カラオケに夢中なっている間に太陽はすっかり傾いていたようで、二人の影を長く伸ばしている。
数学のあの問題が分からなかったとか、古文のヤマが当たったとか、他愛のない話をしながら歩いている途中で、悠希は「あ、そういえば」と声を上げた。
「ねえ美緒、明日のフリマのことなんだけど、待ち合わせ時間さぁ…」
「――悠希!!」
11時くらいでどうかな。
そう続けようとした悠希の言葉は、親友の鋭い声に遮られた。
美緒が一瞬息を呑み、その反応に悠希は咄嗟に前方に注意を向けた。
しかし、それよりも早く。
ドン、
と強い衝撃を全身に感じて悠希は思わず「わっ」と声を上げていた。
カラオケ店から出て開口一番、悠希は明るい声を上げた。
『テスト終了の打ち上げ』
悠希と美緒のそれは、つまりはカラオケで歌いまくることを指す。
今回もフリータイムで美緒と二人歌いっぱなしだったものだから、冷房のきいた室内にいたのに悠希は全身じっとりと汗ばんでいた。
首筋に髪の毛がまとわりつくが、今はそれすらも心地好い。
「ほんと!かなりスッキリしたねー」
美緒も白い肌をほのかに上気させ、満面の笑みを浮かべている。
「テスト終了後はカラオケに限るよね」
「うん、おっきい声出すと、それだけでストレス解消になるもんね」
テストという心の重石が消え、二人の足取りも声色と同様に自然と弾んだ。
夏至が過ぎ去り、日没も驚くくらい遅くなってはいたが、カラオケに夢中なっている間に太陽はすっかり傾いていたようで、二人の影を長く伸ばしている。
数学のあの問題が分からなかったとか、古文のヤマが当たったとか、他愛のない話をしながら歩いている途中で、悠希は「あ、そういえば」と声を上げた。
「ねえ美緒、明日のフリマのことなんだけど、待ち合わせ時間さぁ…」
「――悠希!!」
11時くらいでどうかな。
そう続けようとした悠希の言葉は、親友の鋭い声に遮られた。
美緒が一瞬息を呑み、その反応に悠希は咄嗟に前方に注意を向けた。
しかし、それよりも早く。
ドン、
と強い衝撃を全身に感じて悠希は思わず「わっ」と声を上げていた。