Innocent shine―光の道しるべ―
「ようやく最終日だねぇ、調子どう?」


「それが最悪でさー」



大きくはないものの、パッチリした真ん丸のどんぐり目がきょとんと悠希を見つめた。


テスト期間中なのに、美緒のやんわりした表情はそれを感じさせない。



「あれ、珍しい。どしたの?」



訊ねる美緒に、悠希は苦笑混じりに答えた。



「それがさ、英語の訳を照らし合わせながら暗記してる間に寝ちゃってさー…。朝から絶叫しちゃった」


「あー、ありがち」



クスクスと笑う美緒に、



「だから今、必死で訳を暗記してたところ」



悠希は右手に持ったノートをひらひらと振ってみせた。



「あ、じゃあわたし先に学校行ってよっか?一緒にいると気が散って覚えられないよね?」


「ううん、大丈夫。もう集中力切れかけだったし。まったくやってないわけじゃないし、もう諦めた」



気を利かせた美緒に笑いながら首を振ると、



「じゃ、いっか。赤点取っても自己責任だしね」


優しげな笑顔とは裏腹に、美緒は恐ろしいことをさらりと言いのけた。


穏やかで愛らしい外見にそぐわず、美緒はやること言うことがしっかりしているし、ちゃっかりしている。



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