極上甘々彼氏様
みんなも見ている中、
陸と佐々木さんはキスしていた。
驚きと悲しみ、怒りと悔しさが
いっぺんに込み上げてきて声が出ない。
「やっぱり付き合ってたんだー!」
「ヒューヒュー」
冷やかしの声が飛び交う中、
陸は平然とした顔をしていて、
佐々木さんは勝ち誇ったような
強い視線をあたしに向けていた。
「…な、なにしてんの!みんな席着こ!!」
薫ちゃんがみんなをなだめる。
ありがとう……。
言いたいけど、声にならない。
「あれ?でもさー陸って羽梨と付き合ってるんじゃなかったっけ?」
同じクラスの美和ちゃんが
少し落ち着きを取り戻した教室に
声を張る。
「違うよ!」
そう言ったのは、薫ちゃんでも、陸でも、あたしでもない……
佐々木さんだった。
「羽梨ちゃん、勘違いしてるの!陸はみんなに優しいからっ♪」
佐々木さんは余裕の表情で
美和ちゃんに言った。
…違うよ。
あたし、陸の彼女なのに……