☆嘘つきな恋☆
SECSION-2
職員室を出た早智と哀流は、無言のまま昇降口の方へしばらく歩く。
早智が数歩、前を行く。
「哀流、いい加減にして!何度目だと思ってるの」
急に立ち止まり、哀流の方へ向き、声を荒げる。
顔には明らかに怒りの表情が見てとれる。
「煩い」
「…哀流」
冷たい態度に早智も少し悲しくなる。
「もう帰ってくれ。早智の事、親だと思った事なんて一度も無いから。こうやって学校に来るのも…もう辞めて」
そんな早智の思いを知ってか知らずか、哀流は早智に背を向けて行ってしまう。
「…哀流…両親の仇を討つんでしょ」
哀流の足が止まる。
「だったら、これ以上目立つ行動は止めなさい」
凛とした声に、哀流は拳を強く握り締めた。そしてまた歩き出す。
(分かってるよ。そんな事…けど、早くアイツを見つけて…)
時は15年前に遡る。
「パパー、ママー、早く!」
少年…年の頃なら2歳。先に歩く自分が振り返り、父と母を呼ぶ。ごく当たり前の光景。
「分かってるよ。哀流、そんなに急ぐと危ないよ」
先に行く息子の腕を掴まえ、父はそう答えた。その後ろに優しく微笑む母の姿が見える。
父に抱き抱えられ、いつもと同じだと哀流は思った。
こうやって毎日過ぎていくのだと。
しかし、急に強い風が吹いたかと思うと、今まで微笑んでいた母が崩れ落ち、5人の黒服に包まれた男達がいた。
「間宮」
早智が数歩、前を行く。
「哀流、いい加減にして!何度目だと思ってるの」
急に立ち止まり、哀流の方へ向き、声を荒げる。
顔には明らかに怒りの表情が見てとれる。
「煩い」
「…哀流」
冷たい態度に早智も少し悲しくなる。
「もう帰ってくれ。早智の事、親だと思った事なんて一度も無いから。こうやって学校に来るのも…もう辞めて」
そんな早智の思いを知ってか知らずか、哀流は早智に背を向けて行ってしまう。
「…哀流…両親の仇を討つんでしょ」
哀流の足が止まる。
「だったら、これ以上目立つ行動は止めなさい」
凛とした声に、哀流は拳を強く握り締めた。そしてまた歩き出す。
(分かってるよ。そんな事…けど、早くアイツを見つけて…)
時は15年前に遡る。
「パパー、ママー、早く!」
少年…年の頃なら2歳。先に歩く自分が振り返り、父と母を呼ぶ。ごく当たり前の光景。
「分かってるよ。哀流、そんなに急ぐと危ないよ」
先に行く息子の腕を掴まえ、父はそう答えた。その後ろに優しく微笑む母の姿が見える。
父に抱き抱えられ、いつもと同じだと哀流は思った。
こうやって毎日過ぎていくのだと。
しかし、急に強い風が吹いたかと思うと、今まで微笑んでいた母が崩れ落ち、5人の黒服に包まれた男達がいた。
「間宮」