わたあめ
あたしは屋敷の中へ入った。

ただ1人、昌を置いたまま。

捨てたまま・・・。


「本当にあれで良かったのかよ。」

空き部屋へとあたし達は向かっていた。

「うん、いいの。

 昌が幸せになってくれれば・・・。

 ほら、ああいう風に言い捨てれば、

 あたしに未練は無いかな、って思ったから。」

儚く笑った。

「・・・葵の前で殴っちゃってごめん。」

「ううん、いいの。

 その代わりにビンタしたし。

 お互い様でしょ?」
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