孤独の空
もう一度斉藤を見てみると、いつもの
笑顔。さっきの寂しそうな顔と目は
気のせい?「大丈夫?おーい」斉藤は
私の前で手をひらひらと振る。それに
ハッとすると頷いた。「大丈夫・・・」
・・・あれ?私普通に斉藤と喋ってる?
そんな!騙されない、信じないと
決めてたのに!?いつのまに心に隙が
出来てたの?!でも、一瞬だけ信じても
いいのかなって思ってしまった自分が
いた。そんな甘い考え許されない!
どうせ此奴も私を裏切るだけ!!信じ
ちゃいけない!私はその場にしゃがみ
こんだ。昔からの癖で、悩み過ぎると
しゃがんでしまう。「おい・・・・
大丈夫?ベット、行く?」私の顔を
覗き込む斉藤。私は軽く頭を横に
振るだけ。「本当に大丈夫なのかよ。
無理してる?」「して・・・・なっ
い・・・・げほっ」過呼吸。私が
昔から患う、嫌なもの。段々と呼吸が
速くなっていって、息苦しくなる。
「はぁ・・・・っふっげほっ」
「ちょっ、馬路かよ?!今先生呼んで
くるから!」斉藤は生徒の賑う廊下へ
行こうとした。制服のズボンを少し
摘まむ。「駄目・・・・っはぁっ
行っちゃっけほっげほっ!お願いだっ
行かないでっくぅっ」動きが止まる。
世界の時間がすべて止まる。「だって
急がないと・・・っ!」「大丈、夫っ
袋・・・くっスクバげほっ取ってっ」
すばやくスクバを渡してもらうと、
中から袋を取り出した。それを口に
あてて、ゆっくりと呼吸を整える。
「ふー・・・・・すー・・・・・」
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